私事ではございますが、今月福岡県が4月1日より導入されたパートナーシップ宣誓制度を利用し、事実上結婚しました。
福岡県パートナーシップ宣誓制度とは
双方又は一方が性的少数者のカップルが、日常生活において相互に協力し合い、人生を共にすることを県に宣誓し、県が「パートナーシップ宣誓書受領証カード」を交付する制度。
〇制度の開始年月日 令和4年4月1日(金)
正直言って、私がこの制度を利用することはないと思い込んでいました。
私はトランスジェンダーで戸籍は性自認の性(男性)に変更しており
ヘテロセクシュアル(異性愛)なので、好きになるのは女性です。
パートナーはシスジェンダー(生まれた身体の性と性自認が一致している)で異性愛者のため、私とは法律上婚姻が結べる関係性だから、私には自分が利用者になる日が来るなんてまったく考えたことがなかったのです。
今回パートナー シップ制度を利用するようになったのは、パートナー からの提案でした。
パートナー のご両親に結婚のご挨拶を行ったのは、3月のこと。
すんなりと結婚自体は認めていただき、私にとって本当の勝負はここから。
結婚の挨拶以上に、カミングアウトの方が何十倍も緊張が走ります。
「もう1つ大事なお話があります。私はトランスジェンダー の当事者です」
そう言って、著書である『トランスジェンダー の私が悟るまで』を差し出しました。
ご両親の顔は神妙になり、目線を下に落とし表紙をみつめる。
そっと本を手に取り、義父様がポツリと呟く。
「もちろん聞いたことはあったが、本当にいるんだね」
過去にカミングアウトを受けられたことが無い様子で少し間が開きましたが、2人が幸せならばと結婚を認めてもらいました。
気になっていた子どものことは、ご両親の方から無理につくることもないから心配は要らない。
とにかく2人がちゃんと健康に生活できればそれで良いから。
籍はいつ入れるのか、早い方がいいんじゃないかなど言ってくださり、翌日には私の親への挨拶も済ませ
思いの外事が順調に進んだことで安堵していました。
しかし数日後自体が一変。
ご両親は私の本を読んでトランスジェンダー に対する知識が入ると同時に、
「こういう場合はどうしたらいいんだ?」
「身内にはどうやって説明したらいいんだ?」
などの疑問が次々に浮かび、やっぱりもう一度ちゃんと話をさせてほしいと連絡がパートナーに入ります。
ご両親の気持ちも考えると、確かに一度ちゃんと整理する時間も必要だろうと分かるのですが、彼女はショックを隠せない様子でした。
悩み苦しみ考え抜いた結果、彼女が出した答えがパートナーシップ宣誓制度だったのです。
受け入れてもらえなかったことに対する悲しみ、怒り、やる瀬なさが
入籍できるまでの期間をパートナーシップ制度を結ぶ事で緩和されると言う事です。
ふたりを繋ぐ証明として、同性間以外の人たちにもこんな役立て方があるのかと気付かされました。
入籍までは少し時間がかかるかもしれませんが、今は知識が足りないだけで、きっとわかっていただけると信じています。
パートナー 共々、これからもよろしくお願いいたします。