こんにちは、福岡市に住むトランスジェンダー(FTM)の明楽です。
私の住む福岡市では、LGBTに関する取り組みが積極的に行われています。
代表例としては、2018年度からLGBT支援施策の一環として
パートナーシップ宣誓制度を導入されました。
導入スピードをみてみると
全国では2015年に最初に導入した東京都渋谷区、世田谷区などに次いで7番目。
政令指定都市では札幌に次いで2番目の対応となっています。
日本では47自治体がパートナーシップ宣誓制度を導入。
(2020年4月時点)
徐々にLGBTの人たちへの配慮が見受けられるようになってきました。
そして福岡市では、新型コロナウイルスにおける避難所にも
LGBTの配慮をしっかりされています。
本日のニュース番組でちゃっかりしれっと登場させてもらいました。
避難所でLGBT当事者はどういう悩みがあるのか。
実際に熊本地震で被災経験のある私がリアルに感じたこと、当事者の話を聴いてよく出る話題をまとめてみました。
主にトランスジェンダーとしての観点で記載しています。
●トイレが使用しにくい
避難所によく使われるのは、公民館や体育館など比較的古い建物か、仮設で建てられたものが多いと思います。
多くの建物では「男女」に分かれたものしかありません。
身体の治療を開始していて、ホルモン注射などにより見た目が本人の望む性と一致している人はまだいいのですが、そうでない人にとってはトイレに行くことは非常に息苦しい日常行為です。
服装が男性っぽい状態で女性用トイレを利用すれば、一瞬「え!?」と驚いた顔をされます。
男性トイレを利用しても、見た目がどっちにも判断される顔立ちや体系であれば、これまた「え!?」と驚いた顔をされます。
「男女どっち?」と言わんばかりの顔で上から下まで観察される行為は苦痛でした。
●どう対応してほしいか
できるのであれば、性別に関係なく誰でも利用できるトイレが1つあったら嬉しいです。
最近では「みんなのトイレ」や「ユニバーサルトイレ」などの表記をみかけるようになりましたね。
●お風呂に入れない
トイレ問題同様、お風呂も男女しか選択肢がない上に、共同利用型が多いので非常に困難です。
身体の治療が済んでいる・済んでいないに関わらず、衣服を脱いで裸になるという行為は、トランスジェンダーにとって苦痛に感じる人も多くいます。
まして集団の中となると余計に視線が気になります。
例え性別適合手術が済んでいて、自分が望む性用のお風呂に入ったとしても、不審者に見られて通報されたというケースも聞いています。
また、どれだけ自分のことを説明して身分を証明したとしても、そのことを理解されず怪訝な顔をされることもあります。
私が熊本地震で被災した際、家のガスが2週間復旧せずお風呂に困りました。
町の温浴施設が無料開放を実施していただいたのですが、非常に混雑した中に入る勇気はありませんでした。
(少人数であれば大浴場を利用することも普段あったのですが、人が多いとその分人の目が気になるからです)
●どう対応してほしいか
例えば、時間帯によっては1人利用ができる時間を設けていただけると嬉しいと思います。
あとは、着替えから利用まで完全個室になったシャワーの設置などがあると良いですね。
●受付で性別を聞かれて困る
ハード面だけでなく、トランスジェンダー当事者にとって性別を聞かれることは非常に困惑します。特に性別欄が男女の2択だと、そこから筆が止まります。
見た目と望む性が一致していない場合、受付表を提出した後に「性別欄間違っていませんか?」と確認が入ることもあります。
受付の方にLGBTに関する知識がなければ、説明をしたとしてもここでも不審者扱いをされてしまいます。
当事者にとって、施設を利用する前段階からたくさんのハードルがあるのです。
●どう対応してほしいか
本当に必要な場合を除いては、性別欄を外してほしいと思っています。
これは避難所の受付に限らず、すべての受付や申請書に関して言えることです。
大切なことは対話をすること
色々と要望を書きましたが、なによりも大切なことは
ひとりひとりを尊重することだと思います。
同じセクシュアリティで悩んでいる人でも、人によって悩みは違います。
その人がどんな困りごとがあるのか。
どういう風に扱ってほしいのか。
どんな気持ちでいるのか。
お互いが気持ちよく生活するために必要なことは、マジョリティもマイノリティも変わりません。
目の前の人を大切にすること。
みんなが支え合って生きられること。
そんな社会を私は常に願っています。